
暑さは続いていますが、暦は二十四節気の処暑(暑さがおさまる)です。
MELニュースは新たな一歩を踏み出しました。皆様のお力添えをいただき更なる貢献を目指します。どうかよろしくお願い申し上げます。
令和熊本地震から1ヶ月、酷暑と断水に加えて、うち続く余震が復興に向けた活動の重圧となっている様です。「なぜ、また熊本なの?」この答えのない「自然の摂理」の理不尽さに言葉もありません。亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された皆様に心からお見舞いを申しあげます。
豊饒の地の農水産物はもちろん、改めて熊本への産業集積の大きさを実感しています。一日も早い正常化と、布田川、日奈久の二つの断層帯の上にあるという現実への対応が今度こそ適切であることを願うばかりです。
1.国際標準化関連
GSSIのMOCA(承認継続審査)で、審査員(Independent Expert)からの第1回審査コメントが届きました。IEから、『ロゴマーク使用管理規程の「認証水産物と非認証水産物の混合規定細則」につき製品内に含まれる認証水産物が95%を下回る場合のMELの規定は、GSSIベンチマークツールに不適合』との指摘を再び受けました。前回のMOCAで合意した様に、ベンチマークツールの見直しを先に行うべきだとの主張を含め、8月中旬にMEL協議会の追加資料と説明を返送しました。
また、国際展開に腐心しているCSIのCoC技術委員会が8月10日に開催され、MEL事務局がオンラインでオブザーバー参加することが出来ました。この技術委員会で、新たな認証スキーム(海外)がCSIの統一CoC認証規格を使用する際の規格関連文書の改定作業を行っていますが、方向は1つの認証機関が単独の認定審査を受け、複数の認証プログラムのCoC認証審査を1回で行えるようにすることが共通の目的になり、MELの主張とも合致します。
2.認証発効関連
今月の認証発効はCoC 1件でした。CoCの黒塗り段階が3件ありますので、発効の件数はもう少し増えると思われます。豊洲の仲卸(株)岩田様が取得され、豊洲市場の認証取得者は大卸6社、仲卸5社と豊洲内の認証は一進一退ながら緩やかに増えており、更なる拡がりを期待しております。
3.MEL審査員からのご報告
認証取得者からのご報告は取り敢えず一巡しましたので、101号にあたり新企画としてMEL審査員の皆様に蓄積された「知」を共有するとともに、審査現場とMEL協議会の運営をより近くすることを考えました。皆様ご存じの通り審査員は審査中コンサルティング等の指導は出来ない規定になっておりますので、折角の「知」が事業者の役に立てていません。そこで今月号から経験豊かな審査員の方々に、事業および審査への指摘、助言をお願いし、事業者の皆様だけでなく審査関連、スキームオーナーにも響くことを意図しました。
トップバッターは阪本 拓生様にご相談し快諾いただきました。坂本様は愛媛水産試験場 場長、愛媛県水産課長を務め研究と行政双方を経験され、現在はMEL審査員の重鎮として広範にご活躍頂いております。
「MEL水産認証の現地審査員としてのこれまで」
MEL審査員 阪本拓生(愛媛県松山市在住)

私は、愛媛県を中心に四国の養殖認証と流通加工段階認証の審査を行っています。現在、愛媛県では漁業認証1件、流通加工段階認証10件、養殖認証14件の計25件を取得しています。特徴的なのが養殖認証での団体認証が多いことで、11件が漁業協同組合や産地流通加工業者による団体認証です。
(一社)マリン・エコラベル・ジャパン協議会が発足当時、(公社)日本水産資源保護協会が事務局を務める「国産水産物流通促進センター」の指導員をしていたところ、東京で開催される会議のあとに何回かのMEL審査員研修を受け、2018年12月にMEL審査員に任命されました。初めての審査は、翌2019年1月の養殖認証の審査で、現地審査員による全国初であったことから、認定機関である(公財)日本適合性認定協会(JAB)の認定審査員2名が立会する審査となり、私自身のMEL審査員としての力量が審査される審査でもあり、終始、緊張した審査でした。
愛媛県では、認証スタート当初から漁業協同組合と産地流通加工業者がいち早くMEL認証の取得に名乗りを上げ、傘下の魚類養殖業者を対象にした団体認証の審査が開始。認証の対象魚種は、生簀小割式養殖のブリ、マダイ、クロマグロ、シマアジ、カンパチ、ヒラマサの6魚種に及び、その年には38サイトの審査を実施、審査地域は宇和海全域となりました。認証の開始から2021年までの3年間で、宇和海の養殖認証数は団体認証のブリ3件、マダイ3件、クロマグロ、ヒラマサ、カンパチ、シマアジ各1件、通常認証のマダイ1件の計11件と順調に増えました。
簀小割式養殖のブリ、マダイ、クロマグロ、シマアジ、カンパチ、ヒラマサの6魚種に及び、その年には38サイトの審査を実施、審査地域は宇和海全域となりました。認証の開始から2021年までの3年間で、宇和海の養殖認証数は団体認証のブリ3件、マダイ3件、クロマグロ、ヒラマサ、カンパチ、シマアジ各1件、通常認証のマダイ1件の計11件と順調に増えました。

MEL協議会としては「世界が認める水産エコラベル」の実現と、「日本の自然と水産業の多様性を反映させるとともに食文化を守る」という使命との狭間で、難しい運営を余儀なくされていることと思います。他方、認証を取得・維持しようとする事業者の身近にいる審査員としては、現場の声をMELにつなげることも大事の役目と感じており、今後も「日本発の水産エコラベル」の発展に寄与したいと思っています。
MEL審査員となり8年目、後期高齢者に仲間入りし、旧知の審査員の方々も年齢を重ねており、新たな審査員の確保について憂慮しています。私の元職が愛媛県の水産技術職員であったことから、MEL審査員に相応しい資質を持ち合わせた後輩の退職者に声掛けをし、幸いにも後輩2名が審査員となり、愛媛県在住の審査員は3人になりました。
審査員のモチベーションの維持について懸念しています。新型コロナウイルス感染症の流行が収まったあとも、審査員スキルアップ研修や諸会議がリモートで行われており、審査員同士の繋がりや交流の場がなくなり、審査員のモチベーションが下がることを危惧しております。協会には、対面での審査員同士が対話、交流できる機会の復活を期待しています。
阪本様有難うございました。私自身、MEL会長として宇和島には幾度も足を運び、事業者の皆様との対話の機会を求めてきました。また、MELニュース69号(2023年12月)に寄稿いただきました、愛南町海業推進室に出向された浜辺 隆博様(元水産庁漁政部 企画課係長)からの報告を思い出しながら、阪本様のご指摘を噛み締めています。今後現場の皆様との関係をより密接に運営することを心がけますのでどうかよろしくお願いします。
4.関係者のコラム
今月の関係者のコラムは、6月のMEL通常総会で新理事に就任いただきましたイトーヨーカ堂鮮魚部総括マネージャーの湯山一樹様にお願いしました。
「MEL協議会理事就任に当たって」
イトーヨーカ堂鮮魚部総括マネージャー
湯山 一樹
水産に携わる皆様へ。初めまして、(株)イトーヨーカ堂鮮魚部総括マネージャーの湯山 一樹と申します。この6月よりMEL協議会の理事を務めさせて頂いております。私自身の日々の仕事である「小売り」現場からの意見や課題、消費動向やお客様の声を皆様に共有しながら、積極的に協議会全体を盛り上げていきたいと思います。今後共宜しくお願い致します。
我々イトーヨーカ堂(以下IY)として以前より、他の海外からの水産認証と同様にメーカー様加工の水産認証付最終製品を販売する事は実施しておりましたが、各店舗の売場内の大部分を占める刺身の柵類や切身等の「魚の素材(原料)」自体を店内で加工し商品化した物に関してもIY-YO-YBの3社が店舗CoC認証を取得した事でこの商品販売する事が可能になりました。20年以降は、仕入(開発)担当者にも認証の重要性が徐々に伝わり、古くから一緒に取組んできた国内の養殖魚生産者へのお声掛けと一緒に品自体を「MEL商品」として販売育成していく事で「安心・安全」を一歩ずつ訴求してきました。
その原料を使用した加工品も徐々に広がり、ここに「品質の良さ」も加わって来ました。その一つ一つを磨き上げ、世の中に広げていく事と、このサイクルを更に天然魚の流通や他の小売メンバーへもお伝えしていきたいと思います。まずは国内での認知と世界に通用する水産認証へ向けて皆で育成していきましょう!! 宜しくお願い致します。
湯山様有難うございました。生産と消費の接点を担っていただいている小売業のイトーヨーカ堂様から力強い言葉をいただきました。ご一緒に頑張ります。
どうかよろしくお願いします。
5.ジャパン・インターナショナル・シーフードショーに出展しました
第28回ジャパン・インターナショナル・シーフードショーが8月19-21日東京ビッグサイトで開催されました。名前のインターナショナルにふさわしい国際色豊かなショーとなり、主催者の思いを承けて親子連れの姿が目立つのも特色の一つとして定着しています。
展示試食を中心とした出展から、非水産企業の水産への進出を反映したコンセプトや技術を訴える展示が多く見られました。背景に陸上養殖ブームがあり、サイドイベントのセミナーも盛況でした。
MEL協議会の展示も、認証商品を見ていただくスタイルから、MELと一緒にサステナブルな水産を考える場を意識し来場者とMELメンバーとの対話に力を入れました。また、MELブースに隣接してMSCとASCがブースを構えられましたので、ようやく水産エコラベルがコーナー化され訴求力は明らかに高まりました。

6.MEL認証証書授与式が開催されました
シーフードショーの初日19日にMEL認証証書授与式が開催されました。
今回の受賞者は漁業1、養殖3、CoC4、計7社・団体でした。水産庁から来賓として久納加工流通課長、吉川認証推進班長のご出席いただき、授与者の代表とともに式典を締めていただきました。
授与された皆様の決意表明において、MEL認証を前向きに生かして行くとの発言があり、スキームオーナーとして水産エコラベル制度が成熟期に入りつつあることを強く感じました。皆様とご一緒に「日本発のエコラベル」の存在感を一層高められることを願っています。

7.朝小さまーなび@大阪科学技術館に出展しました
「朝小さまーなび」にMEL協議会として出展しました。当日は1日4回のおやこ教室を実施し、いずれの回も満席となる盛況ぶりでした。
ゲストにはMELアンバサダーの「さかひこ」さんを迎え、子どもたちにも楽しみながらMELについて知っていただく機会となりました。
関西地方でのMELへの関心を高めるため、まずはお子様に興味を持っていただき、そこからご家族へと広がることを意識して、毎年出展しています。

この後、MEL協議会では豊洲の「夢市楽座」でのおやこ教室を不定期ではありますが、開催する予定です。引き続きお子様からの噴水効果を狙って認知度向上を目指してゆきます。
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農林水産省の発表によると、2025年度の農林水産物の輸出額は前年比11%増の8977億円と過去最高となりました。牽引したのはブリと抹茶で誠に喜ばしいことですが、農水省が掲げる2030年の目標3兆円達成への道のりの険しさは尋常一様ではありません。
一方、昨年の食料自給率は31%と過去最低を記録しました。コメの価格高騰の影響が否めないとは思われますが、農水省が目指す2030年度45%は魚介類でさえ53%の実態を考えれば、余りの大きな乖離です。改めて食料安全保障を支える重みを感じています。
以上