MELニュース2023年 1月 第58号

2023 年 1 月 第 58 号

(一社)マリン・エコラベル・ジャパン協議会
事 務 局

皆様明けましておめでとうございます。太平洋側と日本海側の天気がはっきり分かれた年末年始でしたが、お元気で迎春のこととお慶び申上げます。
「激動の 2022 年寅年」が終り「混沌の 2023 年卯年」が動き出しました。困難な環境が続くと思われますが、皆様とご一緒に前に向かって進みたいと願っています。どうか本年もよろしくお願申上げます。

1.国際標準化関連

昨年 12 月に GSSI 事務局長の Herman Wisse 氏辞任の発表があり、設立以来GSSI を引っ張ってきた同氏だけに大きな穴が空いた感が否めません。
ご承知の通り、欧米ではこの種のことは珍しいことではありませんが、アジアの水産業への理解が深かっただけに惜しい人を失ったと感じています。後任は理事会が選任することになると思われますが、まだ発表になっておりません。
事務局長の交代に関わらず、実務は淡々と進んでいます。ベンチマークツール Version2 の審査は、1 月 20 日で A、B(ガバナンス及びマネージメント)、C(養殖)、D(漁業)に関する書面審査実務が終了、今週以降に予定される審査員から MEL に対する評価説明をもって完了し、次のステップである現地審査に移行します。

2.認証関連

2023 年 1 月の認証発効は、養殖1件、CoC1件の計2件の予定です。このところ認証発効件数が低位で推移していますが、コンサル中及び審査中の案件が溜まっており春頃から上向きに転じることと思います。
新年の 1 月 6 日に、青森県のほたて生産・販売関係者新春祝賀会が青森市で開催され、その中の特別イベントとして MEL 認証証書授与式を執り行うことが出来ました。MEL 養殖認証を取得された青森県漁連様および構成員である 10漁協の皆様を始めサプライチェーン全体に参加いただく、MEL 認証にとり初めての現地での認証証書授与式となりました。開催にご尽力賜わりました青森漁連松下誠四郎会長はじめご関係の皆様にお礼を申し上げます。青森の自然と共生する、SDGs の 14 番目の目標の「海の豊かさを守る」の模範的事業であるホ
タテ貝養殖を国内外に向けて大いに訴えていただきたいと願っています。

3.認証取得者からのご報告

本年トップバッターは、旬を迎えているホッキ貝漁について苫小牧漁協の伊藤 信孝組合長に取組みを披露いただきました。

「苫小牧産ホッキ貝 MEL 認証の認知拡大へ」

苫小牧漁業協同組合
代表理事組合長 伊藤信孝

苫小牧漁業協同組合は北海道の太平洋沿岸に面する苫小牧市に位置し、太平洋の豊富な資源に恵まれ、年間 100 種類以上の魚種が水揚げされます。各種刺網漁業、秋サケ定置網漁業、ホッキ桁曳網漁業が中心で、特にホッキ貝漁業については、組合員の約 8 割が着業する基幹漁業であり、平成 30 年に生産段階、加工流通段階の MEL 認証、令和 4 年に Ver.2 の漁業認証、加工流通段階認証を取得し、単一漁協で生産・流通の両認証を取得しております。
ホッキ貝漁業は明治時代から営まれておりましたが、戦後、資源が枯渇したことで昭和 20 年代に抜本的な解決が求められ、昭和 30 年頃からは、禁止区域や禁漁期の設定、9cm未満の若齢貝の保護(北海道では 7.5cm以上のものを採捕可としているが当漁協では独自に 9cm以上のものだけを採捕)、種苗移殖等を行うとともに、噴流式漁法への切替や、ホッキ貝の総合的な調査を行うなど、資源安定への努力が続けられ、先人たちから受け継がれた資源管理の取り組みにより、現在水揚量日本一を 22 年連続で維持しております。

また、平成 14 年に「苫小牧の市の貝」に認定、平成 19 年に「苫小牧産ホッキ貝」の地域団体商標登録を取得、平成 28 年に「プライドフィッシュ」の認定を受けるなど、厳しい資源管理と併せ、ブランド化の推進にも積極的に取り組んできました。
一方、苫小牧のホッキ貝は古くから漁業者自ら厳しい資源管理に取り組んできましたが、ホッキ貝の販売を進める上で資源管理の取り組みが『価値』やブランドとして評価されることはありませんでした。MEL 認証取得の背景にはホッキ貝の品質とは別に、資源管理をあらたな『価値』として具現化するための貴重なツールになると考えたことも、認証取得の大きな要因でもあり、更なる『価値』を生み出すためにも MEL の認知拡大は重要なミッションでもあります。
当漁協では、MEL の更なる認知向上に向け、地元加工会社の協力をいただき、一般消費者向けのボイルホッキ剥き身(冷凍)の商品をあらたに製造いたしました。ホッキ貝は殻から外す手間が課題でもありましたので、より多くの消費者の方に食べていただけるように工夫し、高い品質を保持できたことで、地域の皆さんからは大変高評価をいただいております。また、パッケージには MEL認証のマークを印字することで、認知拡大に微力ながらも貢献できればと考えております。
この商品は今後、国内はもちろんですが海外輸出品としても期待されており、MEL の価値をしっかりと伝え、より多くの方に苫小牧のホッキ貝を消費していただきながら、MEL の更なる認知拡大に繋げていきたいと思います。

伊藤組合長誠に有難うございました。先人から引き継いだ資源を守る精神を具現化する一環として MEL 認証を取得いただいていることを嬉しく受け止めています。日本の資源管理の特長である自主的管理と公的管理の組合わせの成功例として、今後もますます発展されますことを祈念申上げます。MEL もマーケティング等でお手伝いできることを願っており、 MEL アンバサダーのインスタグラマーさんから苫小牧ホッキ貝が発信されています。

4.関係者のコラム

新年のコラムは、加工事業者の皆様に大いに力を発揮していただきたいとの思いを込めて全水加工連の中山嘉昭会長にお願いしました。

「加工事業者がもっと MEL 認証を活用するために」

全国水産加工業協同組合連合会
代表理事会長 中山嘉昭

全国水産加工業協同組合連合会は、塩干品、塩蔵品、冷凍食品、練り製品などの水産加工製品を製造する事業所を構成員とする協同組合の全国組織です。
水産加工業は、漁業地域の地域経済の大きな柱となるとともに、漁獲物を調理が簡単で食べやすく、保存性を持った食料品の形態に加工し、安定的に消費者に供給するという大切な役割を担っています。魚介類の国内消費仕向け量(食用)のうち、約 7 割が水産加工品として流通しています。

我が国の水産業は、世界有数の漁場を背景として発展してきましたが、近年、気候・環境が変動する中、食
卓になじみの深い主要な魚種の漁獲は減少・低迷し、厳しい状況が続いています。一方、世界的に見れば、水産物の需要は健康志向を背景に上昇しています。円安、デフレ傾向が継続する我が国においては、国内、海外からの水産原料の調達環境が非常に厳しい状況になっています。
このような状況を変えていくためにも、先ずは各地の漁港に水産物が安定的に水揚げされることが大切です。政府は、漁業法を抜本的に改正し資源管理制度の一層の強化を図り、漁獲量の回復に取り組んでいます。また、生産者は、各地域で自主的な資源管理、環境保全にも取り組んでいます。加工・流通業者においても、水産資源の回復・安定のため、地球規模の環境問題への取組みとともにこれらの資源管理の取り組みを尊重しその実施に協力して、有限である資源を有効に活用することが必要です。
MEL(マリン・エコラベル・ジャパン協議会)については、資源の持続的利用、環境保全に配慮した管理を積極的に実施している生産者と、そのような生産者からの水産物を加工・流通している事業者を認証する水産エコラベルです。
MEL認証された水産物は、各地域の漁業団体や養殖業者が生産したマグロ、カツオ、ブリ、シラスなど 81 件、我が国生産量の 5.5%と聞いており、今後、さらに認証される水産物が拡大していくものと考えています。消費者においても、人や環境に配慮した消費活動であるエシカル消費について、「関心があるからその実践へ」と変化してきており、それに応じて小売業界ではエシカル消費に関する商品コーナーを積極的に設けている状況と承知しています。
中小の水産加工業者においては、このような認証についてまだ十分に活用ができていない状況にありますが、量販店等からの要望や欧米等への販売戦略などからその活用を検討している状況にもあり、認証される生産物の拡大とともにその活用が増加していくものと期待しています。
水産加工業者は、本来、貴重な水産資源を有効利用するため、生産者や流通業者と協力し、資源状況の良好な水産物を活用するとともに、消費者のニーズにマッチするものになるよう、廃棄などが生じることがないよう全力を挙げなければなりません。そのためにも、社会的責任がより増しているMELの取り組みを積極的に活用することが肝要となっており、MELが水産加工業界の安定的な将来に大きな役割を果たすことを確信しております。当会としても、会員傘下の事業者によるMELの活用について協力して参る所存です。

中山会長有難うございました。水産物のサプアライチェーンにおいて、加工品へのニーズはコロナを機として嘗てないほど高まっており、今後も高まり続けると予想されます。加工事業者の皆様にも MEL 認証を活用する輪に加わっていただき、ご一緒に消費者の皆様のエシカル消費を支えられることを願っています。

5.販促関連 

今月号の認証取得者からのご報告は苫小牧漁協伊藤 信孝組合長にお願いしましたので、販促について同組合阿部島事業部長から状況をご連絡頂きました。

苫小牧の肉厚なホッキを湯引きして急速凍結した刺身用商品で、2022 年秋より MEL とプライドフィッシュのダブルロゴ付きで販売開始されています。漁業認証と流通加工認証を取得している苫小牧漁協から、こちらも流通加工認証を取得したマルゼン食品株式会社へとつながっています。豊洲・大阪・名古屋の市場に向けて販売がスタートしており、待望のMELマーク付き商品として好評を博しているとのことです。北海道漁連様のオンラインショップでも、アキサケなど他の認証水産物と共に販売に向けてご準備中と伺っており、今後の展開が期待されます。

6.MEL 協議会の事務所が移転しました

既に書面でご案内申上げておりますが、三会堂ビルの建て替えに伴い MEL協議会のオフィスを1月 24 日から日比谷の日土地内幸町ビル 3 階に移転しました。最寄り駅は都営地下鉄三田線内幸町駅になりますが、JR 新橋駅の西口から徒歩7分と良い立地かと思います。若干手狭になりますが、同居させていただく大日本水産会の機能を駆使し齟齬のない様業務を進めて参ります。
詳細は下記の通りです。

事務所移転のお知らせ

「3年ぶり」の冠がつくことが多かった新年の行事も一段落かと思います。
某賀詞交歓のスピーチの中で「コロナ禍」から「コロナ果」へという話がありました。曰く「コロナ禍は大きな災いであったが、同時にコロナがあったから実現した良いこと=果実もあった」。何より IT 化が進んだ。リモート会議・商談、在宅勤務等々新しいビジネス文化が広く社会に浸透したことは皆様実感されることで、果実と言って良いかも知れません。
編集子は、現状を「水産エコラベル新時代」と名づけています。水産エコラベルは原点であった「海洋生態系と資源を守る」から SDGs の実践と連動して「社会的責任を果す」ことが求められています。具体的には気候変動、人権問題、海洋プラスティック削減、サプライチェーンの透明性確保等々への行動です。
どれをとっても易しいことはありませんが、自らの事業と地球の明日のために皆様とご一緒に頑張りたいと思います。なお、「MEL の近況ご報告」1 月版のタイトルは「水産エコラベル新時代に向けて」に致しました。ご希望がありましたら事務局まで一報下さい。

以上