
国勢調査の速報が発表になり、日本の本格的人口減少時代の顕在化が改めて社会を揺るがしています。日本の人口(外国人を含む)は1億2305万人で、前回調査から310万人減少しました。2025年の出生数は67万人、合計特殊出生率1.14と何れも過去最低を更新し、これから現場の人手確保は益々難渋を極めるであろうことを示しています。
人口減少は世界的課題となっており、人口第1位のインドでも合計特殊出生率は1.98(2023年)で近い将来人口の減少が予測されています。第2位の中国では2025/2000の人口は0.7%減少、合計特殊出生率も1.00で少子化と高齢化が深刻になっています。日本に多くの労働力を提供しているインドネシアですら、人口2.9億人(世界第4位)で年齢中央値30.7才(日本は49.9才)とまだ若い国ですが、人口増加率0.76%、合計特殊出生率2.08と明日の漁業の現場の支え手にも黄色信号が点滅しています。
1.国際標準化関連
GSSI事務局からMOCA(承認継続審査)の連絡が届きました。
今回のMOCAは6月4日から始まり、10月5-9日の週に決定というスケジュールです。例によって7月までは事務局間のやり取りが中心ですが、夏休みのタイミングであり、スケジュール的には決して余裕がありません。
取り敢えず担当の審査員(Independent Expert)の選定に入っております。
2.認証発行関連
今月の認証発効は先月に続き0件でした。
3.認証取得者からのご報告
今月は、シラス事業を漁業から加工・販売まで一貫してグループ内で取り組んでおられる愛媛県の朝日共販様の福島大志社長に寄稿いただきました。
「海を守る想いをMELマークに込めて」―四国佐田岬産釜揚げしらす―
朝日共販株式会社 社長 福島 大志
愛媛県・佐田岬半島は、瀬戸内海と太平洋をつなぐ豊後水道に突き出た日本一細長い半島です。プランクトンが豊富なこの海は、全国でも有数のちりめんしらす漁場として古くから知られています。朝日共販は1970年、この豊かな海でのしらす漁から歴史をスタートさせました。
MEL認証との出会いは、取引先のお客様からの一言でした。「すでに環境に配慮した取り組みをしているのだから、もっとPRしてはどうか」。その言葉が背中を押してくれました。海を守り、資源を次世代につなぐというMELの理念は、私たちがずっと大切にしてきた考え方と重なるものでした。認証取得にあたって特に苦労はありませんでした。それは、MELが求める環境への配慮を、認証以前からごく自然に実践してきたからです。
グループ会社の福島産業は漁業認証を取得しています。漁師が責任をもって海と向き合い、私たち朝日共販がその魚を丁寧に加工・流通させる。「漁から食卓まで」グループ一体で環境配慮のバトンをつなぐことができているのは、両社が同じ理念を共有しているからこそです。
その釜揚げしらすは、漁場から加工場まで約30分という全国でも稀な近さが生み出す鮮度が最大の特徴です。水揚げされた「しらす」は直ちに全自動釜へ。添加物は一切使わず、讃岐の塩のみで仕上げます。「鮮度のいいものは、何も手を加えなくてもいいものができる」という言葉どおり、素材の味をそのままお届けしています。
MEL認証の取得後、環境に配慮した商品を選んでくださるお客様からの支持が広がり、私たちの取り組みを知っていただける接点が増えました。豊かな海を未来へつなぐために、これからも佐田岬の海と真剣に向き合い続けます。MELマークはその証です。

福島社長有難うございました。釜揚げしらすはMELロゴ付商品として広く販売されています。ご一緒に日本全国の家庭に絶品の釜揚げしらすをお届けし笑顔で満たしましょう。朝日共販様の益々の発展をお祈りします。
4.関係者のコラム
CoCシリーズの最終回として、外食業から見た水産食材について外食関連事業者へのコンサルティング業「フードネスト」を主宰しておられる今井教文様(元ロイヤルホールディング社長)に執筆をお願いしました。
外食業のレジェンドから示唆に富む指摘をいただきました。
「水産関連商品のブランディング再構築」
フードネスト(株) 代表取締役社長 今井教文

水産関連商品の消費動向について、漁業者、外食産業や食品メーカーが望む将来的な拡大性、継続安定性のあるブランディング展開に触れてみる。
日本は海に囲まれ、昔より海産物が重要な食糧となり、魚介を使用した食生活を構成する食文化を育んできた。現状に手を当ててみると、レストランに行った際、水産関連商品(以下、水産品とする)やメニューをどれ位の頻度でチョイスしているか。また、食品スーパーマーケットで素材としての水産素材や水産品等をどの位選択しているか。選択の機会があまり多くないことに気付くのではないだろうか。消費のシュリンクが進行しており、売場も含め縮小傾向にある。消費選択候補としての魅力ある商品が無いわけではないが、圧倒的にバリエーション、アイテム数が少ないことに気付く。ボリューム不足、選択肢不足の状況になっている。新しいブランディング展開としての回転寿司や、お魚市場、魚介専門外販店の登場は楽しむ消費につながっているが、新しい手段の提供にとどまっている。多くの消費者に対する継続安定性の食生活、並びに食文化定着にはまだまだボリューム、パワー不足の状況にある。
「食業」に携わる側にとっては、減少経過を結果的に黙認してきたようになり、対応施策や対応パワーにかけてきたように感じる。隙間に入り込むように取って代わるものが台頭していることも見逃すわけにはいかない。水産素材や水産品の置かれている状況、環境を正面から受け止め、これから先の対応やアクションを具現化していく、前を見据えた消費拡大や、定着していくブランディング展開に挑戦していく状況下にあり、関連する業界全体としての取組み再構築が必要になっている。
流通や外食の提供側、または食品加工販売のサイドからの課題や取組みを考えると、まず挙げられる事項は、供給提供される食品としての水産品のボリュームと食の幅や奥行が足りていない。絞り込んでもよいので消費願望の高いアレンジしやすい水産品に特化したマーケット拡大が望まれる。
漁場からも養殖マーケットからの供給も含め、関連業界全体での供給ボリュームアップに挑戦していくブランディング構築が近道ではないだろうか。また、並行して「情報提供」も連動して世界的な視野でのパワーアップ、供給強化拡大が必要に思われる。継続安定性を条件にスケールアップされる供給環境を構築していくことが消費動向を変えていく柱となる。水産品の消費拡大、ボリュームアップを通して食生活を豊かにしていく行程を考えると、魚介類の原材料不足や安定供給の影響もあり商品の流通や企画開発にブレーキがかかり、水産品の拡大定着に「さぼり」「あきらめ」が見られる。日本においては世界的食文化の観点からの水産品の取り込み拡大が不足している。幅と品質が広がっていない。
畜肉食品業界では世界的視野での畜産品食文化導入と同時に、日本環境下でのアレンジや翻訳、原材料の供給や輸入の拡大を通じて持続可能なブランディングが成果として存在している。ボリュームアップを消費拡大に連結できている。また、食生活の中で選択肢として継続定着している。結果としては世界的視野に立ったサプライチェーンが構築されてきた。このような前例のように水産品の拡大、水産原材料供給拡大や世界的食文化視野での新しい商品の導入取組みと、定着に寄与する「情報提供」も含め新しいブランディング展開によるサプライチェーン作りが必要になっている。
コスト上昇という状況下にあるが、リーズナブルと感じられる幅であれば、また、品質価値的な、味覚的な満足感につながれば楽しい展開が開ける。価格的な課題は水産食品界ではブレーキにはならない。継続安定化に連鎖させていきたいものである。
水産品を頻度高く食べたいと期待している消費者は多いのではないだろうか。消費拡大でうまくいった事例としては、世界にも拡販できた「回転寿司」があげられる。日本の食文化である寿司を新しいブランディングで育成した「仕組み」が構築できている。新しいサプライチェーンが成立している。海外環境下では、アレンジ展開も進んでいる。ブランディングは継続できる仕組みづくりである。世界的視点、食文化的に候補になりえる水産品もまだ数多く存在しており、原材料供給拡大と加工技術や、アレンジの「技」を通して新しいブランディング展開にチャレンジすべきではないだろうか。どのように展開していくかは、ビジネスとしての成立や、継続可能なカテゴリー、アイテムの開発発掘や、原材料を供給生産するサイドからの参画が不可欠になる。食品スーパーマーケットの総菜売場や冷凍食品売場に定番商品のみならず、新しい水産品の登場や商品構成上のアイテムボリュームが増加し、外食業界における水産品の構成比ボリュームや、メニューアイテム数が増加していく状態が望まれる。
EU圏事例のようにシーフード専門のファストフードチェーンの展開定着も日本マーケットで期待される。
水産関連商品の供給消費拡大を実現するブランディング工程には原材料としての水産素材の拡大が不可欠になる。漁場から、また、養殖マーケットからも連動した弾力性を持てるワールドワイド視野で新しいサプライチェーンを構築展開したいものである。
世界で活用、通用する「物差し作り」も不可欠条件になる。環境変化や現実の課題も踏まえ、日本における「食品加工産業」は重要な産業に成長拡大していく可能性を秘めている。現在の柱である「自動車産業」のように輸出も含め成長拡大してきたように、将来的なブランディング展開ができる「兆し」が見え始めている。特に水産関連商品に関しては食文化的にも世界に向け展開可能な技術と歴史を保有している。
今井様有難うございました。水産エコラベルに凝り固まるのではなく、水産業にはもっとやらねばならないことがある筈という示唆と受け止めました。ブランディングの視点から、認証付水産食材の社会、外食業界へのお役立ちのあり方を改めて考えてみます。今後ともご指導をお願い申上げます。
5.通常総会を開催しました
6月17日、MEL協議会第12回通常総会を開催しました。
今年の総会は、水産庁より藤田 仁司長官始め幹部の皆様に出席いただき、理事、会員を含め30名以上の出席者という例年にない盛り上がりでした。
藤田長官からは、MELの日本の水産物輸出へのお役立ちや養殖業の成長産業化だけでなく、世界の小規模漁業の持続的発展への貢献期待等のエールをいただきました。
事業報告・計画、収支決算・予算等は例年の通りですが、役員選任に於いて理事13名(12名重任、1名新任、監事2名は任期中)が選任されました。新事業として取り組んでいますMEL魚粉・魚油認証規格および配合飼料認証規格制定を承認いただきました。発効に向けて、フィジビリティースタディー実施、認定機関の決定および審査機関の認定、審査員の養成等を関係者のご支援をいただきながら実働体制を固めます。認証取得の受付は、認証機関の対応準備が出来次第開始します。また、認証規格改正については、CoC認証規格Ver.3.0が承認されました。改正が多岐にわたりましたので、審査機関が新規格に対応可能となるまで発効をずらします。
通常総会終了後に開催した理事会で、会長を垣添直也、専務理事を平井克則が選任(いずれも再任)されました。
また、通常総会で承認されましたCoC認証規格Ver.3.0および魚粉・魚油認証規格と配合飼料認証規格Ver.1.0に対応する「認証機関に対する要求事項」を承認いただきました。
MEL協議会は発足以来10年目を迎えており、協議会設立時のミッションである「日本発、世界が認める水産エコラベル」の実現からステップアップし、世界を引っ張るリーダーの一員として、海外の関係者とも密接な協力関係を構築しながら次の10年を目指します。
6.MELアンバサダーキックオフミーティングを開催しました
6月8日に、本年度のMELアンバサダーキックオフミーティングを開催しました。第6期になる本年は8名のアンバサダーの皆様に継続して就任頂くことに加え、新たに参加される7名(うち3人が小・中学生、4人が親の構成、7月2日に別途説明会を開催予定)の計15名となります。
皆様が積極的にMEL協議会が参加するイベントの取材や、SNSを通して発信していただいており、MEL認知の拡がりに大きな力となっています。
前向きにアンバサダーとしての活動を続けていただく皆様ばかりで、発信の内容もどんどん進化しており、今年も楽しい活動が出来ることを期待しております。

7.昨年度のMEL認証水産物の生産量(暫定値)がまとまりました
2025年度のMEL認証水産物の生産量は漁業30万4千トン(前年比▲3万4千トン)、養殖7万4千トン(前年比▲1万1千トン)合計37万8千トン(前年比▲4万4千トン)となり、日本全体の生産量に占める割合も1%減少し11%となりました。漁業に於いてアキサケ3万トン、マサバ9千トンの減少が、養殖ではホタテ貝1万トン,ブリ7千トンの減少が響いた結果です。関係される業界にとり厳しい数字に心からも見舞いを申上げます。
8.告知 ※詳細はそれぞれWEBサイトよりご確認ください。
- MELおやこ教室 子供向けワークショップ
開催日:2026年7月29日(水)30日
場所:東京都千代田区
▽募集ページ
https://www.melj.jp/oyakokyousitu2026 - 第28回ジャパン・インターナショナル・シーフードショー
開催日 2026年8月19日(水)~8月21日(金)の3日間
場所:東京ビッグサイト東2・3ホール
▽募集ページ
https://www.melj.jp/exhibition - 朝小さまーなび@大阪科学技術館2026 子供向けワークショップ
開催日:2026年8月22日(土)
場所:大阪科学技術館
▽詳細ページ
https://www.asahi.com/asagakuplus/article/asasho/16636301
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FIFAワールドカップに世界中が盛り上り、G-7サミットやアメリカ・イラン間の戦闘終結に関する合意等の政経のビッグニュースを食ってしまっているかに見えます。スポーツこそは分断に巻き込まれることなく、人類に貢献出来る「平和の象徴であり続けて欲しい」が素直な気持ちでしょうか。
気象庁がエルニーニョ発生を発表しました。通常エルニーニョは日本に冷夏をもたらしますが、今回のエルニーニョはスーパーエルニーニョとされ、世界的酷暑を予測しています。海水温の上昇が世界の漁業に深刻なダメージを与えており、追い打ちをかけることが心配されます。それでなくとも、厳しい環境下にある水産関連の皆様にとって、対応への工夫と行動が欠かせません。
皆様のご健闘をお祈りします。
以上