
桜の便りの中、これまた花盛りのパラリンピック、大相撲、WBC、選抜高校野球等々のスポーツイベントとはおよそ似つかわしくない戦火の拡がりが日常生活にも響いて来ています。歴史から学ぶ限り、戦火の拡大は関係国の衰退を招く要因となっている様です。
戦争の不条理さを幼少期に僅かながらも体験した世代にとり、日々の報道に心の痛みが募ります。「戦争はない、終わらせる」と豪語して再登板したにもかかわらず、またまたTACOになりそう。さもなくば泥沼化する。武力で脅せば誰もが屈服すると過信した暴走にどう付き合うか? 各国のリーダーの胆力と見識、実行力が試されています。
1.国際標準化関連
3月15-17日に開催されたSENA(Seafood EXPO North America)に加藤事務局長が出張しました。MELとしての出展等はありませんが、CSIとCoC認証の相互承認を突っ込んで話をしました。スキームオーナー間だけでなく、認証機関、認定機関にも関わることですので、CSCとのMOU合意の原点に立ち返り、4月21-23日のバルセロナで課題を詰めお互いの実務に役立つ仕組みとして最終化を目指します。
GSSI理事会は、3月16日事務局長のポスト(これまで使用していたCEOの名称から元の事務局長に戻した)に、6月1日付でガート・レルー(Gert le Roux)氏が就任することを発表しました。ガート・レルー氏は2023年よりGSSI理事を務めており、業務への理解はあると思われます。南アフリカのステレンボッシュ大学で水産養殖の修士号を取得後、最近6年間は南アフリカ最大の小売業であるウールワース社の水産物の持続可能性保証システムの責任者を務めました。これでようやく業務が正常化することを期待します。
2.認証発効関連
今月の認証発効はCoC2件でした。コンサル中が18件ありますが、発効は低水準傾向が続いています。
3.認証取得者からのご報告
今、世の中の話題と注目を浴びておられるUmios(株)のサステナビリティ戦略部 部長の佐藤雄介様に執筆いただきました。
「SolutionとしてのMEL認証取得」
Umios株式会社 サステナビリティ戦略部
部長 佐藤 雄介
2026年3月1日、私たちは社名をマルハニチロからUmiosへ変更しました。Umiosという社名には、私たちのルーツである海 “umi” を起点に、ステークホルダーや社会全体、そして地球と一体 “one” となって、「食」を通じて地球規模の社会課題を解決 “solutions” していく決意が込められています。地球温暖化の進行や、生態系バランスの崩れ、世界的な食料危機等と同様に、天然水産資源の枯渇も大きな社会課題であり、創業以来、海と自然の恩恵を享受してきたUmiosグループにとって、この課題解決にまっすぐに向き合っていくことは、私たちの責務だと考えています。

天然水産資源の枯渇という社会課題を解決していくには、様々な方法、施策が考えられますが、その一つが持続可能であると国際的に認められた認証水産物を積極的に取り扱っていくことです。世の中には多種多様な水産物が流通しており、資源状態が不安定でこのままでは枯渇してしまうものが数多くある一方で、持続可能であると国際的に評価されている認証水産物もあります。世の中に流通する水産物のうち、認証水産物の割合が増加していけば、資源状態が不安定な水産物の割合は減少します。持続可能な水産物を支持する消費者が増加すれば、資源状態が不安定な水産物の需要量が減少し、その漁獲量や流通量も抑えられ、資源の保全につながるという考え方です。つまり、認証水産物を積極的に取り扱っていくことが、天然資源の枯渇に対する課題解決の一つの方法だと考えています。
その認証水産物の一つがMEL認証です。日本で生まれ国際的にも認められたMEL認証を取得し、持続可能な水産物として認証を取得したたんぱく源を消費者の皆様にお届けすることは、日本の水産物流通を持続可能なものにし、食料危機への対応にも通じると考えます。当社は2025年5月にMEL認証を取得し、青森県の養殖ベビーホタテよりMEL認証製品の取扱をスタートさせました。取扱い魚種は一つのみで取扱量も決して多くはありませんが、今後魚種、取扱量を増加させていきたいと考えています。
当社のMEL認証の取扱いは始まったばかりですが、日本国内には同じ想いを持つ認証取得者が数多く存在しています。ぜひ、皆様と共創して持続可能な水産業を発展させていきたいと考えていますので、今後ともよろしくお願いいたします。
佐藤部長有難うございます。3月25日のUmiosオープニングセレモニーにお招きいただき皆様の熱気のシャワーを全身に浴びて来ました。
Umios様の素晴しい門出を心からお慶び申し上げますとともに、サステナブルシーフードの更なる拡がりをご一緒に実現したいと願っています。
4.関係者のコラム
今月から3回にわたりCoC認証について取り上げることにしました。
CoC認証規格委員会の専門部会委員をお願いしております東京海洋大学教授中原 尚知先生に全体の総括と加工をお願いし、リテールは小谷フードビジネスを主宰される小谷一彦様(元イトーヨーカ堂、水産庁長官任命の「お魚かたりべ」として魚食普及に尽力しておられる)に執筆いただきます。
「管理責任の連鎖から広がる信頼の連鎖-進化するMEL CoC」
東京海洋大学 教授 中原 尚知
“Chain of Custody”という言葉は、いまではCoC認証として一定程度知られるようになったものの、必ずしも馴染みのある表現とは言えないのではないでしょうか。私自身、この言葉に初めて触れたのがいつだったかはもう覚えていませんが、どこか分かりにくい、あるいは堅い、という印象を持ったように思います。しかし、この言葉はもともと司法手続きにおいて、証拠を真正なものとして取り扱うための考え方に由来するものであり、管理責任を連鎖させていくという意味では、むしろ堅さを伴っていて当然の概念だともいえます。
水産エコラベルにおけるCoCも、基本的な考え方はこれと同じです。認証水産物が非認証水産物と混ざることなく消費者まで届けられるよう、サプライチェーンにおける認証事業者の間で、認証水産物の移動とともに管理責任が引き継がれていく仕組みです。そのため、流通・加工のすべての段階において、認証水産物の受入れから保管、加工、出荷・販売に至るまで、非認証水産物との混在防止、入出荷量の整合性の確認、記録管理などが求められ、その体制が確認されることになります。MEL CoCも、このような国際的な制度構造を踏まえて整備されてきました。当初は国際的に普及していた制度を参照しながら整備が進められ、その後、運用を重ねる中でさまざまな模索が続けられてきています。ここではその模索を、2つの視点から確認してみたいと思います。

第1に、MELの大きな特徴でもある「日本発」という視点です。ご存じのとおり、日本の水産物流通には、産地から消費地に至る多段階の流通、少量多品種の取引、生鮮水産物を中心とした短いリードタイム、流通・加工業者に中小事業者が多いといった特徴があります。こうした特徴は、CoCが求める要件を満たしていくうえで、少なからぬ運用上の難しさを生みます。あるサプライチェーンの真正性を確保するために多くの構成主体の認証が必要になること、少量多品種のロットが日々変動するため管理単位が細分化しやすいこと、そしてその結果として管理の負担が大きくなりやすいことなどです。
一方、日本の水産物流通では、魚と人とお金が集まる卸売市場における濃密な情報のやりとり、産地や品質に関するきめ細かな情報に基づく取引、鮮度を重視した厳密な商品管理などを通じて、独自の信頼関係が形成されてきました。日本の水産物流通の現場に合った認証のあり方を検討することは、そうした信頼を形成してきた仕組みを、第三者が確認できるかたちに制度化していくことであるともいえます。認証事業者の方々には、そのような困難に対峙し、管理責任を明確に示すための対応をとってきていただいていますし、本稿執筆時点でも、より適正な審査の在り方に向けて、MEL CoC認証規格ver.3.0の検討が行われています。
第2に、「世界との接続」という視点です。MEL認証はGSSIの承認を受けており、制度全体として国際標準のレベルに至っています。その中でCoC認証は、サプライチェーンを通じて認証水産物の信頼性を維持し、次の段階へとつないでいく重要な役割を果たしています。スキームとして確認された信頼性を、実際の流通・加工・販売の現場で証明するのがCoCであるともいえます。その過程では、海外の制度や基準と日本の実態との差異を、粘り強くすり合わせてきましたし、それは今も継続しています。
また、水産物市場の国際化が進む中で、海外の認証水産物を国内市場へ、あるいは国内の認証水産物を世界市場へ届けていくうえで、CoCは重要な役割を果たします。CoCには国境を超えて認証水産物の真正性を担保しうる仕組みとして、そして市場と市場をつなぐ架け橋としての意味があります。現在、MELは、米国のCSI(旧CSC/RFM系)との間で、CoC認証の相互承認手続きを進めています。このような動きを通じ、CoC認証事業者による認証水産物の取扱いが世界的に広がっていくことは、持続可能性が担保された水産ビジネスの広がりであると同時に、日本の認証水産物を世界へ届ける経路の広がりでもあります。
このように、MEL CoCは、日本の水産物流通の特質と国際標準への対応との間で、よりよい制度のあり方を探りながら進化してきましたし、それは現在進行形で進んでいます。様々な課題に対応しながら、管理責任をつなぐ仕組みであると同時に、サプライチェーンの中で信頼をつなぎ、さらに日本と世界の市場をつないでいく仕組みにもなろうとしています。CoCという言葉そのものは今も必ずしも親しみやすいものではないかもしれませんが、それはそれで良いのでしょう。MEL CoCとして形成されている管理責任と信頼の連鎖とともに、MELの理念を共有する取り組みの連鎖が着実に広がっていくことに期待しています。
中原先生有難うございました。MEL協議会は、CoC認証が件数ではMEL認証の主体となり、また生産と消費を繋ぐ上の機能が「卸売」、「リテール」、「加工」、更に「フードサービス」と拡がりかつ細分化される中、規格のバージョンアップに取り組んでいます。新バージョンは、先生のご指導の下「管理責任」、「サプライチェーンの信頼」「日本と世界のマーケットをつなぐ」をキーワードにより使い勝手の良い規格となることを願っています。
中原先生には引続きご指導賜ります様お願い申し上げます。
5.「シーフードショー大阪」に出展しました
2月25-26日大阪ATCホールで開催された大日本水産会主催のシーフードショー大阪に出展しました。例年通りMELコーナーの核出展社としての位置づけでMEL認証商品を展示するとともに、コーナーにはMEL認証取得者であるダイニチ様、マル伊商店様、高橋商店様がブースを構えられました。
今年傾向として目立ったのは、来会された方々に展示内容を訴えるのではなく、出展を関係先にお知らせし来会を促す積極的出展が目立ちました。OUGホールディング様はじめ、多くの出展企業が熱心に取り組んでおられたこともあり、生憎の雨模様の天気でしたが、来場者は昨年を上回りました。
MELブースにも多くの方にお越しいただき、また独自にブースを構えられる認証取得者も多く、広範な情報交換が出来ました。
セミナーでは陸上養殖を含めた養殖関連が賑わっていました。陸上養殖への関心が非水産の業界に拡がっていることを、MELブース来訪者も水産に実績のない企業・団体の方が増えていることを通し実感します。

6.MELアンバサダー修了式を開催しました
3月10日第5期MELアンバサダー修了式を行いました。現在9名のMELアンバサダーに様々な場面でMELの社会への浸透にお力添えをいただいていますが、うち6名の方々にご出席いただき、最新の情報を共有しました。
なお、新年度は新たなメンバーも加え5月より活動を開始します。
修了式では、MELの近況報告に続いてMELニュース1月号でご報告いただきました沖縄伊平屋島産のもずくを使ったアンバサダーの皆様のメニュー提案の結果が発表されました。1位は「もずくチヂミ」、2位は「もずくハンバーグ」、3位は「もずく炊き込みご飯」でした。何れももずくに対する先入観を破る提案でした。投票の対象はMELフォロアーの皆様でインナーのコンクールではありましたが盛り上がりました。レシピおよびコメントはMELインスタグラムのアカウントに掲載しています。


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厚生労働省が先月公表した2025年の日本の出生数(外国人を含む)は70万6千人で、国立社会保険・人口問題研究所により2023年に出された「将来推計人口」より17年速いペースで少子化が進んでいることが顕在化され、深刻な話題になっています。
巷では、理髪店が人を募集しても全く応募がなく、お客様の予約が半月先でなければ受けられないといったことが起き、人手不足の余波が生活を窮屈にしている様子が聞こえてきます。新しい時代に向け、何が出来るかご一緒に考え、行動したいと念じています。
以上