MELニュース2022年 2月 第47号

北京オリンピックの余韻の中、オミクロン株への対応と花粉の季節への準備が重なりながら春の足音が近づいて来ました。ロシアのウクライナ侵攻があり国際政治情勢は緊張が一段と高まっていますが、だからといって人類と地球の明日のための活動は立ち止まるわけには行きません。
MELにとって、新しいステージを目指す6年目の春をリアルとネットの併用で盛り沢山の課題に対応し、多くの皆様から様々な示唆をいただき内容のある月とすることが出来ました。

1. 国際標準化関連

オミクロン株が各種の国際活動に様々な負の影響を与えており、GSSIの活動も例外ではありません。昨年12月4日にGSSI事務局と個別会議(リモート)を開催して以来、GSSIベンチマークツールの新バージョンへの対応の打ち合わせを続けています。先発組(BAP、ASC、アラスカRFM、アイスランドRFM)はシステム化(デジタル申請制度)の遅れで、1月開始予定が遅れている様です。MELは今夏からの開始予定ですが、ガバナンス、養殖規格の一部規程を改定する必要があり関係者と連絡しながら対応を進めています。
なお、2月25日にスキームオーナー会議が開催され、ベンチマークプロセスについて改めて説明がありました。

2. 認証関連

今月の認証は漁業1件、養殖1件の計2件でした。
特記事項としては、岐阜県郡上漁協様の「あゆ友釣り漁業」(知事許可漁業)が内水面漁業で初めてMEL漁業認証として発効しました。漁場である長良川水系はFAOの「世界農業遺産」に認定されており、地域、漁業者(漁協組合員)、遊漁者が参加して生態系を守リながらアユ漁をするユニークな取組みを行なっておられる関係者の皆様のご尽力に敬意を表します。
今後とも豊かな自然環境とともに、日本独特の漁業技術を継承していただくことを願っています。

3. 認証取得者からのご報告

今月は陸上養殖ヒラメの第1号認証取得者であります三重県の(株)丸年水産の藤崎社長に取組みの報告を頂きました。

「陸上養殖ヒラメで頑張ります」

(株)丸年水産 代表取締役社長 藤崎 要作

 ㈱丸年水産(本社:三重県度会郡、代表取締役社長:藤崎要作)は、2020年3月27日、陸上養殖ヒラメ分野において世界初、『MEL養殖認証』を取得しました。
弊社は、年間約50万尾のヒラメ稚魚を導入し、約数百基の陸上水槽で養殖しています。同県3カ所(大紀町・松阪市・明和町)に養殖拠点を持つことで、通年安定供給できる生産体制をとっています。
また、流通面において、流通加工段階(CoC)認証Ver.2.0を取得する製品のトレーサビリティ確保に協力いただける事業者らを通じて、弊社の養殖ヒラメにMELロゴマークを付け(オリジナルブランド商品化)、2020年4月13日より関東圏の量販店で継続販売しております。
今後は主力の大紀町を拠点に殺菌装置を導入し、生産効率を高め、年間生産量を現行比25%増となる60万尾以上とし、国内最大級のヒラメ養殖事業者となることを目指しています。MEL認証ラベルを付けトレーサビリティが確立された製品として流通させることで、「環境に配慮し、水産資源や自然環境の保全など持続可能性も考慮して生産された水産物」であることを、消費者の皆様に示し、選択出来る様支援します。

藤崎社長有難うございました。創業以来40年にわたり、環境、種苗、飼料に拘りながらひとつひとつ手作りされた事業に敬意を表します。今後とも環境と共生しながら持続可能な養殖を発展させ日本一を目指して下さい。

4. 関係者のコラム

執筆をお願いしておりました方がPCR検査で陽性となり療養中ですので、今月は「関係者のコラム」は休ませていただきます。

5. 「MELワークショップ2022」を開催しました

2月16日に「MEL設立5年の振り返りと新たなるチャレンジ」をテーマにワークショップを開催しました。MEL協議会設立から5年にあたり、主要魚の不漁や気候変動への対応、循環型社会の構築、魚食文化の継承はじめ日本の水産業が抱える様々な課題に対し、水産エコラベルの意義を消費者、生活者の視点で語って見ようをコンセプトにしました。
基調講演は前水産庁長官の山口 英彰様にお願いし、ディスカッションの部は横浜国大の松田裕之先生にファシリテーターを、パネリストにABCクッキングスタジオ代表取締役の志村なるみ様、作家で食文化・生活史研究家の阿古 真理様、TV番組ディレクターの椎葉百合子様の3方に加え、漁業、養殖、流通、加工、MELアンバサダーの皆様計20名にリアル/リモートで参加いただき多彩な顔ぶれによる奥の深い議論が交わされました。

  • 山口前長官の一言:「我が国の漁業や環境を取り巻く現状に鑑みれば、持続可能な漁業・養殖業の実現は喫緊の課題」
  • 松田先生の一言:「魚食の魅力を未来に伝える。自分が食べ続けられるかではなく、次の世代も食べつづけられるかを考えなければならない」

コロナの第6波の最中であり、会場への来場は避けYouTubeでリアルタイムの配信を通して参加頂く方式とさせていただきましたが、200名の皆様と貴重な3時間を共有出来ました。議事録はMELのホームページに掲載する予定ですが、YouTubeへのアクセスはその後も続いており既に300名を越えています。参加いただいた皆様に深謝申し上げます。
皆様から頂きましたご意見、提案はMELの社会へのお役立ちに反映させていただきます。

6. MELに関する説明会を開催しました

1月27日に長崎県平戸市より要請があり、冠野事務局長が出張対応しまし
た。平戸市の「水産物流通改善対策」の一環として開催された講習会で、行政、漁協関係者の他平戸市の流通改善対策プロジェクトのコーディネーターを務めておれれる江口慎一氏(豊洲の東卸の国際化。流通アドバイザー)も出席されました。コロナの蔓延で会場への出席者は当初の予定より減りましたが、講演内容はVTRに撮り関係者に配布することとなりました
2月24日には宮城県のみやぎ銀さけ振興協議会と大日本水産会共催による県内ギンザケ養殖関連の事業者を対象としたMELに関する勉強会をリモートで開催しました。サケ・マス養殖ブームを反映して43名が出席され、質問も多く出る熱心な勉強会になりました。

7. MELに関する講演を行ないました

●2月19日 CGCグループ全国トップ会

CGCグループでは昨年11月26日にCGCジャパン様がMELCoC認証を取得され、メンバー企業では広島のフレスタ様がCoC認証の申請の準備に入っておられます。この機会を捉え、メンバー企業のトップに対しMELの説明をさせいただきました。東京会場に加え、全国6カ所のサテライトに加盟各社のトップが180名出席されるインパクトのある会議でした。
CGC様は全国に加盟店がおられる組織であり、グループ代表の堀内 淳弘様は「環境問題を含め取組みを消費者の皆様と共有を進める」との方針を出しておられ、MEL事務局としてもこの方針に貢献したいと願っています。

●2月24日 日本食糧新聞社主催「食品経営者フォーラム」

日本食糧新聞が主催して毎月1回開催される勉強会で、「世界及び日本の水産業のゆくえと課題」をテーマに90分間、水産エコラベルを含め水産業について話させていただきました。MELの裾野が水産から食糧、食品業界にも拡がりつつある中、1月24に日本食糧新聞がMEL5周年特別企画として掲載された記事と連動しており、出席者の数から見ても一定のインパクトがあったと受け止めています。食品系の企業様のMEL会員への加入につながることを期待しております。

8. MEL審査員研修会(CPD)を実施しました

2月21~22日MEL審査員研修(CPD)を実施しました。当初はリアルで開催を予定しておりましたが、感染防止への配慮からリモートに切り替えました。研修実施機関((株)テクノファ)、主催者、受講者ともリモートの会議に慣れて来てスムーズな運営が出来ました。審査員研修は審査の質をより高める上でも、またGSSIの新バージョンへの対応もあり来年度も内容を改良して継続的に開催させていただく予定です。審査員の皆様には何かとご負担が多いことと思いますが、どうかご理解をお願いします。

日本海側と北国は記録的大雪、たった5cmの雪に大騒ぎする都会は申し訳ないと思いながら雪かきをしました。雪国では年初に除雪費を予算化することになっていると承知しておりますが、今年はとても当初の予算では間に合わないでしょう。お見舞いの言葉もありません。
産地偽装が連日メディアに大きく取り上げられています。水産エコラベルは「究極のトレーサビリティを約束する仕組みである」ことに思いを致し、認証事業者の皆様と力を合わせこの様な行為を排除したいと念じています。
皆様のご健勝をお祈りします。

以上