MELニュース2019年 6月 第15号

エルニーニョの発生が報道されています。まだあまり強くないようですが、心配の種が加わりました。
また、6月14~15日に開催されたG-20エネルギー・環境関係閣僚会合において海のプラスティックゴミ問題への対応における国際的枠組み作りが合意されました。プラスティックの量産が始まって半世紀余り、この間の生産は83億トン。うちリサイクルされたのは9%。実に63億トンがゴミとなったと報告されています。国連の発表によれば、今でも年間800万トン以上のプラスティックがゴミとして海に流れ込んでいます。昨年のダボス会議で、このまま行けば2050年には海中のプラスティックゴミの量は生息する魚を上回るという研究結果が発表され注目を浴びたことを記憶されておられる方が多いかと思います。
G-20でも「海洋生態系や漁業に負の影響を与える」と結論付けられました。プラスティックゴミにはブイや浮き、捨てられた漁網等もあり、私たちが被害者であるとともに無意識に加害者になっていることも心しなければなりません。

1.第4回通常総会を開催しました

6月21日にMEL協議会の第4回通常総会を開催しました。
今年は、水産庁から山口次長、藤田企画課長はじめ幹部の皆様に来賓として、また会員としては30の会社・団体にご出席いただきました。
水産庁の山口次長から「水産改革の柱は、水産資源の適切な管理と水産業の成長産業化であり、MELの活動方針は水産改革の方向性に合致している。また本日閣議決定された未来投資戦略の中でも“東京オリ・パラも契機として、国際水準の GAP、JAS(日本農林規格)、有機、GI(地理的表示)、水産エコラベル等の規格・認証や知的財産の戦略的活用を推進する。”(「成長戦略フォローアップ」より引用(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/kettei.html)とされている事にもふれ、水産物に対する日本人の意識を変えるためにもMELに大いに頑張って欲しい」とのエールをいただきました。
総会においては、平成30年度の事業報告と収支決算の承認、MELの業容拡大にともなう役員の増員および団体内の人事異動による役員の交代の承認、定款の一部(寄付金の取扱いの規定を追加)変更を承認いただきました。
報告事項において平成31年度(令和元年度)の事業計画と収支予算案をご説明しました。MELが国際標準のスキームとしてGSSIに承認されることを前提に「世界に認められたMELとして相応しい活動を通して、新しいステージ即ち社会と事業者のお役に立つ活動に挑戦する」年とすることを宣言しました。
役員の選任については、新しい理事として北海道漁連の菊池元宏様、(株)極洋の井上 誠様、(株)シジシージャパンの杉村 哲様、双日(株)の山口佳仁様の4方に就任いただきました。どうかよろしくお願します。
なお、組織内の人事異動により辞任されました北海道漁連の佐藤忠則様には、協議会発足以来ご指導いただきましたことに心からお礼申し上げます。

2.理事会開催を開催しました

総会に続いて第16回理事会を開催しました。
GSSIの基準においてマネージメントレビュー(事業活動の報告および評価)を行い理事会に報告することが義務づけられており、協議会の管理運営規則に則り、平成30年度の事業報告および平成31年度(令和元年度)の事業計画の主な内容を報告し承認を得ました。
また、諸規定の改訂において、アドバイザリーボードを今までの会長および事務局への諮問機関の位置づけから、理事会の諮問機関とすることおよび理事会に参加し意見を述べることが出来る様設置要領を変更することを承認、ロゴマーク使用・管理規定をGSSIの基準に沿うことおよび実際の使用の場面で齟齬をきたさない様変更することを承認、認証機関への要求事項(流通加工)について実務において発生する事態に合わせた修正を承認いただきました。
また、会員の入会は、定款で理事会の承認を必要とする旨規定されていますが(不適切な会員の入会を避けるための規程)、実務上は会長承認で入会を決定し、理事会のたび事後報告で承認いただいて来ました。今後も、この手順で行うことを承認いただきました。

3GSSI関連

今月もMELにとって予期せぬ厳しい月になりました。折角、関係者の努力でGSSIの審査員による審査報告で「全て適合」と認められたにも関わらず、肝心のGSSI側のキーパーソンであるBenchmark Managerが急遽退職することになり、認証に向けてのプロセスがすべて停止してしまいました。後任はすでに着任していますが、何分経験者ではなく目下促成トレーニング中です。現地のコンサルタントの力も借り、また管理部長の須藤が私用で6月24‐28日アムステルダムに滞在しますので、この機会をとらえGSSIのオフィスを訪問し膝詰めで話をする予定です。何とか、6月27日に予定されているベンチマーク委員会で審査報告の承認を得て、直ちにパブコメ(4週間)に入れるよう全力を尽くします。

4.オリパラ食材関連

5月30日に、内閣官房オリパラ事務局と農水省共催による「2020年に向けた持続可能性に配慮した日本の食材活用のための説明会」が開催されました。
MELとして参加を申し込みましたが残念ながらNOでした。都道府県行政の関係者が出席されたようですので既にお耳に届いているかもしれませんが、ポイントをお知らせします。

①選手村の食事メニューの決定のプロセス
スケジュール

メニュー(案)の決定は8月中、その後活用可能な食材の検討が行われ(9月を目途)、食材の供給時期、加工形態、納入場所等の詳細の詰めが行われることがスケジュールから読み取れます。選手村の主要ダイニングは、

・メインダイニング 45000食/日 栄養管理、ハラル、ベジタリアンへの対応

・カジュアルダイニング 3000食/日 日本の食文化の発信、各地の特産物活用

オリパラ事務局はカジュアルダイニングで日本を発信したいと考えている姿が浮かび上がります。水産系食材の使用量は、既に魚27トン、ホタテ3トン、エビ2トン、イカ1トン等計38トンと発表されていますが、カジュアルダイニングで新たなビジネス機会を期待したいと思います。

②日本食をどの様に発信するかはこれから徐々に詰まって来ると思われますが、事業者とっては選手村の外が本当の主戦場になると思われます。この時、どの様にMEL認証をアッピール出来るか研究します。

③産地表示は被災地産品や地域特産品を意識して行う

 

5.認証状況

6月中旬現在で、新認証は漁業2件、養殖3件、COC 6件の計11件ですが、審査中が26件、申請受理済み審査待ちが6件更にコンサル中を含む申請準備中が27件あります。審査契約締結から審査開始まで数週間お待ちいただいている状態が続いており、申し訳なく思っております。
3月に実施しました新規審査員養成講座の合格者(審査員補の資格)35名に対し、日水資様にお願し実地審査に同行させていただくことで経験を積み一日も早く審査員となれる様取組み中です。
また、認証機関複数化の方針に沿って、海生研様とMELの認証機関となるための覚書きを締結し、JAB認定取得の準備を開始していただいております。

6.講習会等の開催

本年度も水産エコラベル普及推進事業の一環として、国の助成による講習会を開催します。この他、各地の様々な行事に参加し、MEL認証と水産資源の持続的利用について皆様と意見交換を行います。
今月は、20日に沖縄で第4回「農水産業支援技術展」、25日に仙台で「東北復興水産加工品展示商談会2019」に参加し、水産エコラベルが水産物付加価値化にどの様に貢献するかお話をさせていただきました。何れも盛会で参加者との間で熱心なやり取りがありました。明らかに、「MELって何?」から認証取得を成果に結びつけることへの関心が一段と高まっていると感じました。なお、沖縄では水産高校の3年生の生徒さんが10名ほど参加されるという初めてのケースがありました。多分先生のご配慮と思いますが、この年代の若者に持続可能な水産業への理解を深めていただくことは大いに意義があると受け止めます。

 

暦は水無月から文月へ、紫陽花に若鮎、それに新仔等々豊かな日本の初夏の彩です。環境が持続的に保全されてこその風景です。
ある方が令和の時代の3つのキーワードとして

  1. インクルーシブ:社会の優劣が国の優劣を決める、
  2. サステナビリティ:地球環境が最優先される、
  3. エシカル・ルール:技術の進化と倫理規程を提案しておられます。自らが世界にリーダーとして真摯に取組むことを合わせて求めておられます。MELが認証取得事業者の皆様にお願いしておりますことに相通じます。

G-20を機会に日本を舞台として様々な動きがあるでしょう。そしてオリパラ開会まで1年、参院選と続きます。水産エコラベルは、正に日本にとって今までを変える恰好の機会です。

事務局一同、御期待に応えられる様一歩一歩業務の精度を高めてまいります。引き続きよろしくお願いします。

以上